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2023 11/21
コラム
第7回オルタナティブデータの不動産活用に関する研究会の開催報告

2023/11/21

vol.30


 

第7回オルタナティブデータの不動産活用に関する研究会の開催報告

 


竹田 賢治
不動産戦略アドバイザー
日鉄興和不動産株式会社

 

開催日:2023年11月9日(木)
場所:赤坂インターシティAIRにて、ハイブリッド開催(対面&WEB)
発表者:原口特命担当部長、佐藤担当課長(国際航業株式会社
コーディネーター:
村木信爾(JAREC常務理事、大和不動産鑑定)
竹田賢治(JAREC理事、日鉄興和不動産)

※WEB参加者含め18名が参加

【テーマ】
「国際航業の衛星データソリューションのご紹介」 
 国際航業株式会社 原口特命担当部長、佐藤担当課長

【タイムテーブル】
18:00~18:30 対面参加者の名刺交換ご挨拶Time
18:30~    研究会スタート
《5分》   トピック紹介:各種記事「都市緑地保全に関する、国交省の動向、三井不、森ビル等の事例」ご紹介

《90分》   国際航業株式会社様よりテーマ発表を行い、不動産活用を探るFreeディスカッション

冒頭、トピック発表における我が国の動きや世界各国の動向(TCFD)など、緑地に関する取組が法整備を交えての潮流となっていること。これを支える技術・基盤の一つが国際航業様の提供するソリューションであることが分かった。

今回のテーマでは、「実現化が進む測量技術(社員やレーダー等)と法整備の整合」がまさに日進月歩で進み、その高性能化(精緻化)により様々な分野での実用化可能性が飛躍的に高まっていることをご紹介頂いた。これまで何度かご紹介頂いた移動データ(携帯等)、自動ドアのビーコンセンサーやPOSデータとは違った角度(基本は静止画、またはその差異)からのアプローチにより、不動産に活用できる(=商業化)ことを探るという議題で、ディスカッションが進んだ。

この技術を一言でいうと測量データ(写真やレーダー)とのことであるが、その種類はかなり多岐にわたり、かつ精緻なものであることも分かった。また、そのデータを解析・分析する技術が我々の生活基盤を維持するインフラに活用されていることも分かった。
特筆するのは、SARセンサーの解像度(30CM)と距離測定能力の精緻さであり、正にスパイ映画を彷彿とさせる感動も覚えるところである。また、政府の衛星データ(10m)がオープンデータになっている(アーカイブの蓄積量)という点も、まさにリアルタイムの分析へつながるなど技術力の進展を感じるものである。

レーダーによる測量技術の転用例として、地表面の高さ=隆起の測定で、地下の動き=工事状況を
とらえるといった活用は、不動産業界としてもコスト低減を実現するものとして目を見張る状況であり、この技術だけでも様々な活用方法が予見され、利用ボリュームが出てくれば更に使い勝手が高まると思われる(同社提供事例として、農業向け=「あっぱれ」など)
具体的な事例として、農林水産省が推進する「我が国全体のメタン排出量の約4割を占める水田からのメタン排出の削減」があり、第29回J-クレジット制度運営委員会において、「水稲栽培による中干し期間の延長」がJ-クレジット制度における新たな方法論として承認されているが、ここにも衛星・航空データが活用されている。このような環境測量(森林の量自体の見える化)により、CO2の削減へ寄与させるなど世界的な取り組みに発展している。
別の視点となるが、SAR衛星の特徴でもある水面の反射測定技術は、リアルタイムの洪水把握(深さまで)ができるとのことでもあり、具体的な事業(損保会社の損害把握)として実現化している。

【不動産分野への応用】
建物の移動判読の技術については、まさに太閤検地を思わせる高度な技術であり、不動産分野に留まらない活用がいくつも想起される。

今回は不動産Valueを測るための前段である、現状把握と活用状況把握の2軸からのアプローチが実際に現地に向かって行う測量等よりも安価かつ精度の高い検証ができているという点が、今後の検討の土台と感じました。
前回研究会で、不動産Valueの本質の一つは、「人が利活用することでその価値が変わる(上下する)」との視点を議論していますが、今回研究会では、これに加え「自然の利活用」が今後の大きな課題になり法整備が進んでいることも共有化できたと思います。

今後も不動産価値向上に資する、活用が期待される「データ」のリスト拡充=研究会を行います。

研究会で利用された国際航業株式会社様の説明資料は、公開が難しいため、会員限りで配布いたします。
要望がある会員の方は、事務局までメールでお知らせください。

メールアドレス jimukyoku@jarec.jp

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