2024/06/04
vol.33
Column 音楽への思い
村上 幸二郎
不動産鑑定士・不動産カウンセラー・不動産戦略アドバイザー
不動産カウンセラー協会理事
村上不動産鑑定士事務所 代表取締役
昨年のちょうど今頃、梅雨の晴れ間に名古屋まで車を走らせました。昔から大ファンで世界的に有名なバイオリニスト、ヒラリー・ハーンの演奏を聴くためです。生演奏を聴く機会を失い、もっぱらWEBで演奏を楽しんでいただけに長い間待ちかねた日でした。会場の皆さんもきっと同じ気持ちだったに違いありません。素晴らしい音色に耳を傾け、演奏が終わるたびに拍手が鳴りやみませんでした。伴奏のピアニストはアンドレアス・ヘフリガー。彼のファンも大勢詰めかけていました。
二人のベートーヴェン・ヴァイオリンソナタの折り重なる柔らかいメロディと鋭く鮮明なタッチに感動しましたが、それぞれの演奏者のアンコールの無伴奏パルティータやリストにも心揺さぶられました。広いホールでしたが音響も整い、演奏する者にも聴く者にとっても幸せな時間を過ごせる場所でした。世界中がコロナ禍の不遇な時代を経て、当たり前だった日々が帰ってきたことの喜びをかみしめている、そんな演奏会でした。
さらに驚かされたのは、幼児から中高生までたくさんの子どもたちがいたことです。音楽家の卵たちがこんなにたくさんいて、目を輝かせてプロの演奏を聴きに来ているんだと思うと「これから広がる未来と可能性がうらやましいね。」と家族で感心し、都会と田舎の文化の違いも見せられた気がしました。
私が学生時代にはモスクワフィルや小澤征爾の指揮するオーケストラが訪れ、サザンオールスターズやユーミン、今で言う昭和のスター達の歌声が目の前で聴けたものでした。ここ数年で世界の素晴らしい演奏や映像が携帯やインターネットで楽しめる時代になりましたが、生で聞く音楽はやはり良いものだと再確認し、幸せな気持ちで帰途につきました。
事務局の内山真理子さんもクラシックがお好きで東京などでのコンサートにはよく行かれるとお伺いしたことがあります。私のみならず、たくさんのクラシックファンや音楽好きが楽しい時間を取り戻したことをうれしく思い、また数年後には徳島でも新しい音楽ホールでクラシックコンサートが開催されていることを願ってやみません。