JARECは不動産の専門家「不動産カウンセラー」「不動産戦略アドバイザー」を育成する、NPO法人です。

ENGLISH
2021 01/04
行事
「ハレザ池袋」と池袋駅周辺まちづくりの視察研修会 開催報告

去る11月6日 「ハレザ池袋」と池袋駅周辺まちづくりの視察研修会を開催致しました。
当日は、ハレザ池袋の中心的な開発事業者である東京建物株式会社様のご協力を頂き、東池袋のまちづくりについて視察を行いました。
はじめに、東京建物株式会社様より、ハレザ池袋の事業概要及び豊島区と同社をはじめとする民間事業者が連携して進める新しい池袋のまちづくりについてご説明頂き、豊島区の新ホール「東京建物ブリリアホール」及び新オフィス棟「ハレザタワー」を内見、その後、これらの建物と一体的にハレザ池袋を形成すべくリニューアルされた南池袋公園を視察しました。

1.ハレザ池袋の概要

ハレザ(Hareza)池袋は、旧豊島区庁舎跡地及び旧豊島公会堂跡地の再開発「(仮称)豊島プロジェクト」のもと、令和2年7月1日(水)に開業した「ハレザ タワー(Hareza Tower)」(オフィス棟)に加えて、2019年に竣工・開業した「東京建物ブリリアホール(Brillia HALL)」(ホール棟)、そして「としま区民センター」および「中池袋公園」を含めたエリア全体での一体的な開発プロジェクトです。

■ Hareza Tower(オフィス棟・旧豊島区庁舎跡地)
◇ 施設用途:事務所、映画館、店舗ほか
◇ 施設規模:地下2階・地上33階建
◇ 竣工時期:令和2年5月29日(7月1日OPEN)
◇ 所 有 者:東京建物、サンケイビル
■ 東京建物Brillia Hall(ホール棟・旧豊島公会堂跡地)
◇ 施設用途:劇場、集会所、店舗
◇ 施設規模:地下1階・地上8階建
◇ 竣工時期:平成31年4月26日(令和元年11月1日OPEN)
◇ 所 有 者:豊島区、東京建物、サンケイビル
■ としま区民センター
◇ 施設用途:公民館
◇ 施設規模:地下3階・地上9階建
◇ 竣工時期:令和元年10月末(令和元年11月1日OPEN)
◇ 所 有 者:豊島区、東京建物、サンケイビル
■ 中池袋公園
◇ 施設用途:公園
◇ 竣工時期:令和元年10月(令和元年10月RENEWAL OPEN)
◇ 所 有 者:豊島区

木立からイメージされた外壁(ハレザ池袋のパンフレットから転載)

館内にもこの外壁をイメージしてつくられた壁面がある。

2.民間の資金とノウハウを活用し、新庁舎整備における区の実質財政負担ゼロを実現

地方公共団体の財政は、今後の本格的な人口減少社会を控え、経済の縮小に伴う税収の減少が懸念されている一方、社会保障関係費の増加が見込まれているほか、高度経済成長期を中心に整備された公共施設が一斉に改修・更新時期を迎えており、一層厳しさを増すことが見込まれています。
豊島区も例外ではなく、老朽化した旧庁舎に替わる新しい庁舎を、如何に財政負担なく整備するかが課題でした。
そこでまず、旧日出小学校跡地において第1種法定再開発事業に参画し、旧日出小学校等の従前資産に相当する権利床に加え、同再開発事業により生み出された保留床約140億円分を取得することで新庁舎を整備することとしました。注目すべきは、保留床取得費約140億円の財源として新たに起債を生じさせるのではなく、旧庁舎跡地(旧本庁舎敷地及び旧公会堂敷地)に借地借家法第22条に定める一般定期借地権を設定し、民間事業者に貸付け、当該事業者に新ホールと民間施設を一体的に整備してもらい、新たな文化にぎわい拠点を創出するとともに、地代を新庁舎整備費の財源に充当したことです。
通常、定期借地権による地代は、貸付期間の経過に合わせ毎期に分けて受領するのが一般的ですが、本事業では、76年間の借地期間に相当する地代を初年度に一括で受領し、新庁舎の保留床取得費用に充当することで、区の実質的な財政負担ゼロを実現しました。
旧庁舎跡地の活用事業者選定における公募プロポーザルでは、区が民間事業者に対し、旧庁舎跡地の一部に区の要求水準を満たす新ホールを整備することを求め、竣工後の新ホールは区が買い取ることを条件としました。また、池袋駅東口から約300mの立地を活かし、年間1000万人の人々が集う文化にぎわい拠点を生み出すことも事業者に求めました。
この画期的な公募プロポーザルにより、2015年3月、「東京建物株式会社」「株式会社サンケイビル」「鹿島建設株式会社」の3社から成るグループの提案が選ばれ同グループがハレザタワーと新ホール棟を整備しました。区は新ホール棟内の1300席の芸術文化劇場を買い取るとともに、隣接するとしま区民センターと中池袋公園、周辺道路の整備を担いました。

3.国際アートカルチャー都市構想に基づく一体的なまちづくりかつてない官民連携のビッグ・プロジェクトです。

豊島区では、高野区長のもと、平成27年に「国際アートカルチャー都市構想」を策定し、新庁舎移転後の庁舎跡地の活用を契機として、旧庁舎跡地周辺エリアが抱える課題を解決しながら、国際アート・カルチャー都市の拠点としての池袋副都心の再生を進めています。
Hareza池袋の開発事業に象徴される旧庁舎跡地周辺のまちづくりでは、「現庁舎周辺まちづくりビジョン」を定め、公民連携によるHareza池袋の施設整備に併せ、周辺道路や公園の整備など計画的、総合的に進め、新ホールや区民センター、中池袋公園を同時期に整備することにより、文化にぎわい拠点の形成を進めてきました。また、Hareza池袋のある旧庁舎跡地周辺地域と、新庁舎のある「としまエコミューゼタウン」・「南池袋公園」周辺地域とを拠点とし、この2つの拠点を繋ぐ南北区道と併せてダンベル型のまちづくりを進めています。

4.池袋駅周辺4公園のパークマネジメント(公民施設と公園の一体的開発、広域的なまちづくりビジョン)

また、豊島区では、国際アートカルチャー都市構想に基づくアート・カルチャー活動の拠点「アート・カルチャー・ハブ」として、池袋西口公園、南池袋公園、中池袋公園、造幣局地区防災公園の4つの公園を、交流、表現、発信の舞台と位置づけ、周辺の施設と連携した回遊性の拠点とすべく再整備しています。今回の視察研修では、Hareza池袋の各施設の見学のほか、これら4つの公園も見学しました。

視察するメンバー

イケバスで公園間を移動できます。ソーシャルディスタンスのフクロウが置かれてました。

5.感想

今回の見学を通じて、池袋地域における街のリニューアル計画の実践を実地に学ぶことが出来ました。地域の課題を的確に掴み、官と民が協力・連携して知恵を出し合い、ともに新しいまちの活力を生み出すことで、周辺から人を呼び込み、回遊性を向上させることで、更なる活性に繋がるという好例を見ることが出来ました。とても有意義な視察研修だったと思います。
今回の研修にご協力頂きました東京建物株式会社様に感謝申し上げるとともに、今後、更に進展する池袋のまちづくりに大いに期待したいと思います。(JAREC理事 中島 徳克/不動産カウンセラー)

 

JAREC facebookページへ
ページトップへ