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2022 08/17
行事
「会員の活動を聞く会」の開催報告【2022年8月8日開催】

「会員の活動を聞く会」の開催報告


小川 哲也
常務理事・広報委員長
不動産カウンセラー、不動産鑑定士

 

2022年8月8日開催、Microsoft Teamsを利用したライブ配信で「会員の活動を聞く会」として「空き家問題とその相談・処理体制について」を不動産カウンセラーで当協会会員の石田 信治様にご講演頂きました。

この報告会は、昨年末に開催された「年末放談会」にご参加頂いた石田様に注目させて頂き、「空き家問題」を行政と組んで事業を進められているという興味深いお話を、もう少し詳しくセミナー形式としてお話をお聞かせ頂きたい思いで企画されたものです。
当日の参加者は28名で、会員の皆様の関心が高いテーマとなったようです。

今回、ご報告下さる石田 信治様は、株式会社岡山不動産鑑定事務所コンサルティング部長として不動産仲介、コンサルティングを手掛けられており、その中で空や家問題に取り組み、地道な活動を通じて各専門家のネットワークを構築し、一般社団法人を立上げ、空き家の相談や対策、実行に至るまでのコーディネートをされており、多くの実績を積み重ねていらっしゃいます。石田様を中心として立ち上げた一般社団法人は、「一般社団法人岡山住まいと暮らしの相談センター」という名称で、石田様をはじめとして、各種専門家が理事を務められています。

この一般社団法人の具体的な実績としては、
・国土交通省「住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業」採択
・国土交通省平成28年「消費者の相談体制の整備事業」採択(平成28年度から令和2年度まで)
・国土交通省令和3、4年度「住宅ストックの相談体制整備事業」採択
・国土交通省令和2年度「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」採択
・国土交通省平成28、29、30、令和元、2年度「消費者の相談体制の整備事業」
・倉敷市「令和2年度空き家等総合相談会実施業務委託」(平成31年より)
・玉野市「空き家等不動産の利活用などの相談会開催業務」(令和3年より)
等が挙げられます。

一般社団法人岡山住まいと暮らしの相談センターは、消費者の生活をはじめとした様々に関連する諸問題について、気軽に相談できる専門家による窓口を設置し、各専門家の連携が取れ、ワンストップで色々な問題に対処できるという特徴を有しています。
その他、空き家相続ガイドブック(保存版)を発行し、啓発セミナーの実施等を通じて情報提供を行い、所有者へダイレクトな啓発・情報提供も併行して行われています。

このように空き家対策として必要と思われる課題を網羅的に取扱い、問題解決に向けて、時には行政と組みながら、ネットワークを駆使できる体制づくりは、並大抵の苦労では出来ないものと想像できますし、実際、「空き家」自体は不動産業者からも疎まれるような存在でもあり、専門家を集めるだけでも困難に思います。
また、当初2年は利益が出てないというお話でしたが、一般的にはここで頓挫してしまうケースが多いのではないでしょうか。
やはりチームとして継続し続けるというのは、志が一致している方が複数いらっしゃらないと、なかなか厳しいのではないかと考えます。

お話の中でも様々に工夫された内容が語られました。印象的だったのが、空き家の調査を地域情報誌配布員にお願いして調査した点です。
頭が固いとなかなか思いつかない妙案かと思いますが、よくよく考えますと一番効率的な調査方法だとも言えます。
また、専門家による空き家の点検と整理について、データベースを組み込んだWEBシステムを構築し、各行政とも情報共有し、空き家情報の共有、管理、活用を容易にした等の高度な技術も取り入れ、アナログからデジタルまでを屈指した柔軟な発想に基づいて組織が活性化されているなと感じた次第です。

人口減少に伴い、空き家問題が顕在化してかなりの年月が過ぎておりますが、なかなか大規模に解決する手段もなく、地域で地道に少しずつでも活動を続けていくことが求められていると思います。予算、時間が限られているなか、石田様のように行動力があり、粘り強い気持ちと柔軟な発想があれば、事業化が困難な「空き家問題」も事業として回り始めることが出来るのだなと感じた次第です。
今回は会員の活動報告という新しい試みの中で、石田様の活動に刺激を受けて感銘させて頂いた報告会となりました。

 

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