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2021 10/06
研修会
9月29日開催「ウェビナーによる一般研修会」の開催報告

9月29日に開催された、ウェビナーによる一般研修会『「コロナ禍における賃料減額等交渉の要諦及び弁護士と不動産カウンセラー・不動産鑑定士との連携」~賃貸借当事者双方の「ロスの最小化」を目指すためのカウンセリングのあり方~』の開催報告を致します。

この研修会は、不動産戦略アドバイザーの継続研修の対象とされ、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会の認定研修となり不動産鑑定士等の受講には3単位の履修単位が付与され、一般社団法人日本補償コンサルタント協会のCPD研修の対象とされました。
また、参加者は145名を超え、主に不動産鑑定士の皆様の関心が高いテーマとなったようです。

今回の講演は、まず、大久保 寛氏(CBREエグゼクティブディレクター、リサーチヘッド)から「コロナ禍における不動産賃料マーケットの動向(賃料減額、減床等の実態)と題して、現在のオフィスマーケットの分析を解説して頂きました。

 

 

リモートワークが進み、空室率が上昇しているオフィスマーケットですが、コロナ禍においてもオフィス新設・拡張需要が見られる点や、そうは言っても2022年、2023年のオフィス大量供給の影響で空室率の推移は厳しいものになる等の見解が述べられました。
コロナ禍の影響は地方都市よりも都心部において影響が大きいようで、地方都市では「増床」予定が「減床」予定を上回っているとのことで、地域間格差が若干縮む傾向なのかなと感じられました。

次に、弁護士で日本交渉学会常務理事の加藤 幸英氏による【WIN-WINを実現する「交渉」とは何か】で、まずハーバード流交渉術の基本から解説して頂きました。

 

 

感情と問題を分離する重要性、立場ではなく利害に焦点を合わせ、客観的な基準を使い、多くの選択肢を生み出し、代替策を用意する重要性について解説して頂きました。
客観的な基準に資するような不動産鑑定の重要性を再確認した次第です。
また、争うスタンスではなく、お互いに問題解決する仲間的な関係性を築いていくことが重要なポイントであると感じました。

この交渉術の基礎を踏まえて、【賃料減額及び減床等の交渉の要諦】~減額や減床を求められたら?~と題して、具体的に不動産オーナーが直面している問題に入っていきました。
それは、貸主VS借主という構図ではなく、まず、コロナ禍による売上低下という「問題」として取扱うことが重要だと解説されました。
更に、借主からなぜ減額を申し出たかの理由を聞き、お互いの利益の調整を行い、また調整を行うには多くのオプションを用意するという、前段の交渉術に沿って具体的な問題に対処できることがより深く分かってきました。

最後に今回のメインテーマである「コロナ禍における賃料減額等交渉の要諦及び弁護士と不動産カウンセラー・不動産鑑定士との連携」~賃貸借当事者双方の「ロスの最小化」を目指すためのカウンセリングのあり方~について、加藤 幸英氏、JAREC副理事長の小野 祥吾氏、同じくJAREC副理事長で今回の司会者である三輪 勝年氏によるパネルディスカッションが行われました。

 

ここでは、現状の問題点、特に裁判官に対応するべく、弁護士や不動産鑑定士及び不動産カウンセラーの各役割、期待すること等が話し合われました。
不動産鑑定士としては、やはり評価における査定根拠を明確に説明できることが求められているなと再確認致しました。

今回はコロナ禍によってやや不透明になったオフィスマーケットを将来予測まで含めて分かりやすく解説頂き、また、コロナ禍によって賃料減額等が問題となっている中で、マーケットを維持するために各プレイヤーの役割を再確認し、交渉術の基本から具体的な賃料減額の問題に落とし込んで、理想的な交渉の過程を見ることができ、かなり濃い内容となったと思います。
非弁行為の問題を重々意識しつつ、不動産の現場で起きている諸問題を肌で感じ、今後の不動産カウンセリング、不動産鑑定により深みを増していきたいと感じられた研修会となりました。

広報委員長 小川哲也

 

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