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2022 09/30
コラム
鑑定評価と消費税に関する疑問と不安

2022/09/30

vol.20


 

鑑定評価と消費税に関する疑問と不安

 


白沢 啓
不動産カウンセラー、不動産鑑定士、補償業務管理士
ジェイ.ビイ.ブライアン株式会社

 

恥を忍んでの寄稿となります。
会員の皆様、消費税の取扱いはどのようにされていますか?

鑑定評価の業界では、鑑定評価額、査定価格等問わず結果は税抜きの表記となっているのは分かります。
では、鑑定評価等の手法を適用するに当たっての消費税の取扱いはどのようになっているでしょうか。
また、地価公示、地価調査の手法適用に際しても消費税をどう扱ってお出ででしょうか。

ある日ある先生の鑑定評価書を拝見したところ、原価法の援用(控除方式)の造成工事費の算定で、工種ごとの工事費から敢えて各々の消費税を差し引いている例を見ました。正直言って驚きでした。
鑑定評価では消費税を含めないというのが業界の常識だというのが理由でした。

当職は頭をかかえてしまいました。国有財産評価基準では造成費に消費税を加えることになっています※。


※(国有財産評価基準から)

4)消費税の取扱い
評価に当たって、消費税法(昭和63法律第108号)第4条第1項の規定により消費税の課税対象となる建物等の評価額は、原則として消費税相当額を含まない価格とする。

ただし、同法第6条第1項の規定により非課税となる土地等の評価において、土地の造成等課税対象となる役務の提供に係る経費等を考慮するときは、当該経費等相当額は消費税相当額(円単位未満の端数については切捨てとする。以下同じ。)を含めた額による。


しかし、造成後の土地は非課税で売買されるため、最終消費者は消費税を負担しませんが、造成工事業者はそれぞれの工事で材料仕入れ先に消費税を支払います。
造成業者は最終消費者を通して、自分の消費税を売上げとして回収できない立場にいます。

建物のケースでは、工事業者は消費税抜きの見積りをするケースがあったとしても、請負額には消費税を入れ、請求額は消費税も込みになります。
そして、例えば、建物工事価格積算専門誌の単価は「消費税抜き」の価格であることを前提とていますが、仕入控除や還付があるので税抜きにしている、
というわけではないそうです。消費税は別途計上することになるようです。

さてさて、建物の場合、還付があるから消費税は費用として認めないということなのでしょうか。当職は「インボイスが始まれば得心できる」のかな、
とよく分からない世界に右往左往しています。費用性の高い建築工事費に消費税を含めない理由は何なのでしょうか。

請求書には消費税は入っていて、その額を支払わなければ引き渡しも受けられず、下手すると訴えられる現実なのですが、
収益還元法の建物建築費の工種ごとにも消費税を考慮外とする訳は何なのでしょうか。
数歩譲って、後々還付されるからとか、仕入控除制度があるからというのが理由でも、インボイス施行前の今、還付等は100%確実なものなのでしょうか。
「いまさら」という幼稚な疑問ですがご教示頂ければ幸いです。

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